〜永久保存〜



「やるねー。」

ニヤニヤ笑う滝の冷やかしに宍戸は

「うるせぇよ!」

と声を上げた。


「すいません、滝先輩、宍戸さん!」

慌てて長太郎が謝る。

長太郎が宍戸宛に送るつもりだったメールを間違えて滝に送信してしまったのだ。

「すいません、宍戸さん!
俺、新しい携帯にして操作がよくわからなくて・・・。」


戸惑う長太郎に宍戸は

「ふんっ。」

と言って部室を出て行った。

「あ、待って下さいよぉ!」

後から長太郎が追いかける。

「ったく、よりにもよって何であんなメール間違えて送ってんだよ!
激ダサだぜ!」

宍戸はまだ不機嫌だ。

「そんなに怒らないで下さいよぉ」

オロオロと宍戸に付きまとう長太郎。


「うざいよ、でかい図体で俺に付きまとうんじゃねぇよ!」

「宍戸さん・・・。」


長太郎は宍戸を怒らせてしまい落ち込んでしまった。


そんな部活に身が入らない長太郎を榊が呼び出した。

「やる気のない者は帰れ。」

「すいません、監督・・・。」

榊まで怒らせてしまった長太郎は肩を落とし部室に戻って行った。


カバンから携帯を取り出し昨夜間違えて滝に送信してしまったメールをもう一度読み返した。



『宍戸さんと同じ会社の携帯に変えました♡
今まで宍戸さんが俺に送ってくれたメールは全部保存してあるんで、
前の携帯も大事にとってあるっすよ(^_^)v
これからは同じメーカー同士なんで絵文字が使えるようになってうれしいっすよ♡
俺の宍戸さんへの気持ちも絵文字で表現できるっすね♡
宍戸さんからも♡マークたくさんのメール送って下さいね(^o^) 』


読み返し長太郎はため息をついた。


「せっかく宍戸さんと同じ携帯にしたのに・・・。」


そのとき、メールが一件届いていることに気がついた。


「ばっか野郎、
俺はお前が新しい携帯に変えて初めてのメールが
滝に届いちまったのが悔しいんだよ。
今度からはちゃんと確認して送れよ!
んじゃ、全国大会に向けてこれからもずっと一緒に頑張ろうぜ♡」


長太郎の目が輝いた。


「♡だ! ・・・宍戸さん!!」


長太郎は部室を飛び出しコートに走って行った。


「宍戸さんっ!
全国の奴らに俺たちの強さ見せつけてやりましょう!
俺、もっともっと頑張ります!」


「おう!!
奴らの度肝を抜いてやろうぜ、長太郎!」


「はい!!」


二人の様子を見ていた岳人が


「くそくそ、俺たちも頑張ろうぜ侑士!」


と意気込んだ。


その様子を見て跡部が笑いながら言った。


「全く、こいつらみんな単純な奴ばかりだぜ、なあ?樺地。」


「ウス。」



その時


「んがぁ?あれぇ?
みんな何かあったの?」


ジローが目を覚ました。


「・・・。
こいつら絶対に全員下克上してやる!」


最初から最後まですべてを見ていた日吉は心の中で叫んでいたのだった。





****************

鳳宍を書いたのは初めてです。
これは、私が長太郎役でなりメをしていてポンと浮かんだお話です(笑)
さりげなく、樺跡や忍岳がちょろっと出てくるのがミソ(笑)


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