〜eternallove〜



「精市、お久〜!!」



「亜美、待ってたんだよ。
風邪ひいてたんだって?大丈夫かい?」


元気に入ってきた亜美を見て幸村は微笑んだ。



「うん、もう大丈夫。それより・・・明日、手術だね・・・。」


「ああ・・・」


幸村は表情を少し曇らせた。



・・・できれば、明日の手術の話はしたくはない・・・。


亜美はそんな幸村をみて、困惑した。



「あ、そうだ、女子テニス部も全国に進むんだって!?
おめでとう!」

「ありがとう。男女とも全国制覇してこそ常勝立海大だよね!」

「ああ。」


今度は亜美が表情を曇らせた。


「でもね・・・ここまで来るのに私の出番全然無くって・・・。
シングルス1の私ににまわらなくて全勝して来てるんだぁ。」

「そうか・・・。女子も選手層が厚いからね。
でも、キミまでまわってたら相手校の部長さんが怪我しちゃうからよかったんじゃない?
まずキミの球を返せる女子なんてそうそういないだろうし。」

「ひっどぉーい、精市!!
まるで私か゛化け物みたいじゃない!!」

「あははははっ
でも、キミの球は男子でも返すの大変なんだから、たいした物だよ。」



「もぉ・・・
でもね・・・精市。」


「うん!?」


「私たちって・・・
部長の役目、全然果たしてないね・・・。」



「・・・・・・。」


「あ、ごめん精市。」

「いや・・・本当だよね・・・。」



「でもね・・・私・・・本当は・・・
私まで、まわってこなくて・・・ほっとしてるの。」


「え!?
どうしたの・・・?キミらしくないね」



亜美は、しばらく考えてから思い切ったように口を開けた。




「精市・・・あのね・・・私・・・
お腹に赤ちゃんがいるの・・・」


亜美はそのままうつむいていた。


「亜美・・・」


幸村はしばらく考え込んでから口を開いた。



「ごめん、亜美・・・
僕は・・・キミとの将来の約束はできない・・・」


「精市・・・」



「明日の手術はかなり危険だ・・・。
もう・・・キミとは二度と会えなくなるかもしれない・・・」

「イヤッ!!精市!!」


亜美は幸村の胸に飛び込んだ。
亜美も幸村の容態がどんなに悪いのかを知っていた。



だからこそ幸村の口からそのことは聞きたくなかった。


「精市・・・私を・・・置いていかないで・・・お願い・・・」

小刻みに震える亜美の瞳から涙が溢れ出す。


普段の気丈な彼女からはその姿を想像することは出来ないことだった。



「僕も・・・キミの笑顔をずっと見ていたいよ・・・。
でも・・・ダメなんだ・・・。」


幸村も声を詰まらせる。



「どうして!?なんで・・・こんなことに・・・
精市がいなくなるなんて、私・・・私・・・絶対にイヤ!!」



「亜美・・・」

二人は力いっぱい抱き合った。



「私も・・・精市と一緒に・・・いる・・・。この子も・・・!!」




幸村は・・・ずっと考えながら、ため息をついた。



「亜美・・・
眠れないって言って、看護師さんにもらって飲まずにためておいた薬があるんだ・・・」



幸村は引き出しからハルシオンを取り出した。



「こんなこと・・・したくなかったけど・・・」


「ううん・・・いいの精市。
これで・・・ずっとずっと・・・私達は一緒になれるんだもん。」

亜美は幸村の手をとる。



そして、幸村は亜美のお腹にそっと手を当てる。



「ごめん・・・
これしか・・・一緒にいられる方法がないんだ・・・。
こんな人生にしてしまって・・・すまない・・・。」




幸村も亜美も涙が止まらない。


「精市、謝らないで。
この子も、私たちとずっと一緒で幸せになれるんだから。」



「ああ・・・ずっと・・・一緒だ・・・」


二人は同時に大量のハルシオンを飲んだ。



「ねぇ、精市・・・。
こうして・・・一緒に寝るのって、久しぶりだよね。私、毎晩、こうして精市と一緒に寝たいって思ってた・・・。」


「僕もだよ・・・キミのこと・・・ずっと想ってた。」



幸村は亜美の手をぎゅっと握り締めた。



「亜美・・・愛してるよ・・・」


「精市・・・私も・・・」


幸村はそっと亜美にキスをした。




同時に二人は二度と目覚めることの無い深い眠りについた。




硬くつながれた手と安らかな寝顔が二人と、もう一つの新しい命の永遠の幸せを表しているようだった。






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初めて書いた死にネタは、幸村さんでした。。。

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