裕太は部屋へ戻り着替えてからリビングへ向かった。




「やぁ、裕太!」




「あ、兄貴!?何してるんだよ?」




エプロンを着けて台所に立っている周助を見て裕太は驚いた。




「姉さんが電話しているから代わりに夕食の支度を手伝っているんだよ。」




周助の言うとおり由美子は楽しそうに長電話をしている。




“ありゃ当分電話を切りそうもないなぁ、今夜はラズベリーパイは無しかもな・・・。”




由美子の長電話は毎度のことで、軽く2時間を越えることも度々あった。




裕太はため息をついた。




「裕太!おまたせ、カボチャ入りカレーできたよ。」




周助はニッコリしながらお皿を持ってきた。




「ありがとう兄貴!いただきま〜す!」




裕太は好物のカボチャ入りカレーを食べ始めた。





「んぐぅあああ!!」




裕太は突然叫び出した。




「どうしたの!?」




周助も驚いた。




「かっ、辛い・・・。」




裕太はヘロヘロになった。




「あら!周助これは裕太のじゃないでしょ!?」




母親が慌ててカレールーを持ってきた。




「あれ?間違えちゃった。」




周助は超激辛30倍カレールーを間違えて入れていた。




「あはは・・・ごめん裕太。」




周助はすまなそうにジュースを持ってきた。




ゴクッ・・・。




裕太は一気に飲んだ。




「んぬぅぐぅぁあああ!!」




裕太はその場に倒れ込んだ。




「あっ、乾にもらってきた試作品の乾汁だった・・・。」




周助はとんでもないものを裕太に飲ませてしまった。





“この家にいたら殺される”




裕太は本能で直感した。





「え?あぁ?裕太の声よ、聞こえちゃった?騒がしい子でしょう?
ふふっ、じゃそろそろ裕太に替わるわね。 裕太〜、観月くんから電話よ。」




“・・・姉貴は観月さんと長電話してたのか・・・。”




もう、裕太はわけわからない状態で受話器を受け取った。




『裕太くん?実家で楽しく過ごしているみたいでよかったです。』




「観月さん・・・。」




『実はですね、知り合いのパティシエが自由が丘にお店を開いたので、
明日ケーキやタルトやパイをたくさん寮に持って来てくれるんですよ。
裕太くんはいちごのショートケーキとラズベリーパイが好きでしたよね?
ちゃんと冷蔵庫に保管しておきますね。』




観月の声を聞いたとたん、裕太の瞳から涙が溢れだした。




「観月さん・・・。
俺、今すぐに帰りたいです・・・。」




裕太はようやく自分が帰るべき場所がわかったのだった。




****************

恐るべし、不二一家(笑)
裕太が家を出て行った理由がよくわかりますね。



















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